謎はいつもそこに

子供の頃から自然に生活の中にまざっていた不自然なものたちのお話。

弁天様物語 その1 お札

夫の実家の敷地には小さなお社があり、お蛇様と弁天様が祀られています。

弁天様とは、七福神の紅一点、女神様のことです。

 

以前、そのお社があまりにも古びていたので新しくしてはどうかという話になり、ちょっと大規模に庭も改装して、新しいお社を買いに行きました。

 

ああいうものって、買っただけではだめなんですね。

きちんと中にお札などを入れてお祀りしないと意味がないというのです。

じゃあお札はどこで買えばいいのか、と考えたときに、近くに弁天様を祀っているお寺があることを思い出しました。

 

とある日の朝、夫の仕事も休みだし、弁天様のお寺に行ってみようか、という話になりました。

車で5分程のそのお寺に着くと、まず視界に入ってきたのは大きな池。

弁天様は「流れるもの」にご縁のある神様なので、水や芸術、音楽などを司ると言われています。夫の実家も井戸水が湧いてるし、やはり弁天様のおられるところに水はあるんだなあ、なんて思いました。

 

よく見ると、池の真ん中に小さな島のようなところがあり、人だかりが出来ています。まだ早朝の、静かな時間にです。

私たちも橋を渡り、その小さな島へ行ってみました。近づくにつれて聞こえてくるお経。般若心境かな?

10人程の人だかりの一番前にはお社があり、その前でお坊さんがお経をあげていました。

せっかくなので私たちも混ざり、一番うしろで手を合わせます。

数分後、その儀式は終わり、その場にいる人全員に何やら紙きれが配られました。私たちにもくださったので、よくわからないけど有難く戴いてから、お坊さんに話しかけてみました。

 

「あのう、自宅のお社を新しくしたので中に入れるお札を買いたいのですが…」

 

するとお坊さんは申し訳なさそうに、

 

「お札の販売はしていないんですよ」

 

ええ!じゃあどうすれば…?と顔を見合わせる私たちに、

 

「うちは年に一度、御開帳の日にお渡しするだけなんですよ。御開帳の日はいつも3日前くらいに決まるので、告知もできないのです。

 

 

なので、今日ここへ来られたのはきっと、弁天様のお導きですね」

 

 

そう言って笑うお坊さんは、私の手の中にある、先程いただいた紙きれを指差します。

まさかの、年に一度の御開帳の日だったのです!

 

そんな経緯で、無事にお札を納め、新しいお社が完成。

 

RPGかな?っていうような、お導きのお話でした。

 

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橋本雅邦「騎龍弁天」1886

 

私のご先祖様の絵です✨

 

 

 

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