庭に、去年はなかったお花が咲いていました。
どこからやって来たのでしょう?
このお花、名前は知らないのですが、ちょっとした思い出があるのです。
10年くらい前、友達が何人か泊まりに来た時のことです。
夜通し遊んで、気づいたら外が明るくなっていました。
眠すぎてダウンした人、未だ元気が有り余ってる人。
私は後者だったので、もうひとり元気な友達と、早朝の庭に出てみました。
当時住んでいたのは某街道の目の前だったので、なんとなく、庭の延長で道路沿いへ歩いて行きました。まだ車は全然通っていません。
うっすら靄がかかってるような、夏の朝です。
その、車すらまだ通らないような時間に、向こうから歩道を歩いてくる人がいました。大人と子供です。
早い時間にお散歩かな?
その親子らしき2人が近づいて来るにつれて、様子がおかしいことに気づきました。
彼らは、日本兵と、おかっぱの女の子なのです。
↑これ本当にどちらもそっくりです!
2人はひと言も言葉を交わさず、しっかりした足取りで歩いて行きます。
親子じゃなさそうだと、直感的に思いました。そこには一切の甘えがなく、どこか張りつめた空気が彼らを包んでいたのです。
日本兵の格好をした男性は私たちに目もくれず、靴の音を立てて通り過ぎます。
伍長とか?よく知りませんが肩書きがありそうな貫禄です。
どこか思いつめた顔をした女の子も、まっすぐ前を見たまま歩いて行きました。
余りにも普通に、自然に現れたので理解が遅れましたが、現代の人ではないと思います。
いつかのタイムスリップみたいに、時空が歪んだ隙間だったのかな。
彼らが遠く見えなくなってから、ようやく友達と「今のなに!?」と言い合いましたw
その後、不思議な余韻に浸りつつ草むらを見ると最初に載せた白い花がたくさん咲いていて、お花の根元をかき分けてみると、小さな白い卵が何個かありました。
1cmくらいの卵型の卵で、ひとつだけパカっと割れて中身がないものもありました。
これ何の卵だろう?
なんて名前の花だろう??
さっきの日本兵はなんだったんだろう???
そんな不思議な朝でした。
その後、その時一緒にいた友達とは会う度に「あれはなんだったんだw」という話になっていたのですが、そんな彼もこの世界を旅立ってもう、7年も経ってしまいました。早いなあ。私の息子の誕生日が命日なんです。縁とは不思議なものですね。
今はあの日本兵と少女のことは私しか知りません。
それは時々寂しく思うのですが、突然庭に現れた懐かしい白い花は、悲しみではなく「あれは本当になんだったんだw」という思い出し笑いを運んでくれました。
不思議な夏の朝の思い出です。