謎はいつもそこに

子供の頃から自然に生活の中にまざっていた不自然なものたちのお話。

大黒様のご利益

七福神の中にいる、左肩に大きな袋を背負い、右手に打出小槌を持ち、米俵をふみ、いかにも福々しい姿の大黒様。

 

その大黒様の置物に気づいたのは、子供の頃に、ひとりで留守番をしていた時でした。

普段使っていない祖母の古い箪笥の中を捜索すると、きれいな洋書や画集や、古い美しいものが出てくるのがおもしろくて、留守番の時の楽しみのひとつでした。

画集を眺めてまた引き出しにしまい、なんとなく箪笥の上を見ると恰幅のいい大黒様が埃をかぶっているのが見えました。

「かわいそう」

素直にそう思ったので、椅子に乗って引っぱり出してみました。

子供が両手で抱えてずっしりくる大きさで、多分、木彫りのものだったと思います。

タオルを取ってきて、埃をきれいに拭いていきます。丁寧に拭いて、無心で磨いていると、見違えるほどきれいになりました。

なんとも言えない達成感に包まれていると、インターホンが鳴り、慌てて玄関へ向かいました。

郵便局の人から受け取った荷物は私宛で、開けてみると、前に送った懸賞の当選商品だったのです。しかも3名枠!

純粋な心がご利益を生んだのでしょう。驚きました。

 

この体験以降、どうしてもご利益を意識してしまうので、神様に対して純粋になれないジレンマが生まれましたw