以前書いた「あの人達」について。
今も定期的にいろんな人が登場しますが、この頃は電車でうとうとした時や、ちょっと横になった時にも出てきます。
人間みたいな人もいれば、一応ヒト型だけど人間とは似ても似つかない姿の人、緑色の人、様々です。
最近会えたのはこんな感じの人で、もう少しひょっとこみたいな顔で緑色でした。
この人に会えた時、なぜかものすごく懐かしくて嬉しくなりました。
久々にこの種族を見た、というか。
20年ぶりにサンリオショップに行ってハンギョドンに会った、みたいな感覚。
「やばい!ちょー懐かしい!ちょー懐かしい!」
と、その人を見てテンション上がっている私に、少しブルース・ウィリスに似た人が話しかけてきました。
彼は付き合いの長い友人で、私のこともよくわかっている感じでした。
「(その種族に)会えて嬉しいのはわかるけど、ここで会ったこと覚えていられるの?」
ウィリスは言います。
「大丈夫!忘れる気がしないよ!」
私は答えます。
懐かしい人々を見渡して興奮気味の私を、ウィリスはしばらくじっと見てから、
「でも名前はいつも忘れちゃうくせにね」
と言いました。
そんなことないよ!と言いかけて、私はその緑色の種族の名前が言えないことに気がつきました。
あれ?待って待って、、思い出せない。
思い出せないと言うより、私は「知らない」。
やだ!忘れたくない!と思い、友人であるはずのウィリスの顔を見る。
大丈夫、言える。この人の名前は、、
ウィリスは少し悲しそうな、それでいて慣れているような顔で私を見ました。
「ほらね」と言いたげな顔が、だんだん消えていきます。
ああ、私はこの人の名前を「知らない」。
そして目が覚めてしまう。
キーワードは「名前」。
相手の名前を言おうとしたり、覚えていようとしたり、「名前」にフォーカスすると必ず一瞬でその場のことを何もかも忘れてしまうのです。
覚えているのは、よく知っている場所へ行ったこと、よく知ってる存在達に会ったこと、その事実だけ。
毎回、つい覚えていたくて「名前」にフォーカスしてしまうと、弾かれて現実世界に戻される。
毎回なんです。もう30回くらいは、と書こうとしたのですが、もしかしたら毎晩なのかもしれない。。
とてもよく似た内容の映画が空前の大ヒットでしたが、私からするとあのタイトルはまさにその世界での禁句。
「君の名は。」というのは現実世界へ弾かれるキーワードです。
名前のことを尋ねてはいけない。
名前のことを考えると目が覚めてしまうから。
私はいくつかの世界を同時に生きている。
本当はきっと誰もがそうなんだと思う。
この世界でぶつかり合う人が、他の世界では形を変えて兄弟なのかもしれない。
仲良い友達とは、他の世界では祖母と孫かもしれない。
他の世界では魂の伴侶なのに、この世界では離れてお互いの任務に奔走しているのかもしれない。
この世界ではもう肉体を持っていない人が、他の世界では元気に楽しく暮らしているかもしれない。
他の世界では子供の頃の家族の団欒が、何も変わらずそこに在るのかもしれない。
私たちは何も失うことはないのかもしれない。
ただちょっと眠りが深いだけで。
いつか目を覚ましても名前を覚えていられるかな?