そこにあるはずの「物」が消えてしまう、または逆にそこになかったはずの「物」が突然現れる現象を「物品移動現象」と呼ぶそうです。
あるはずのものが消えるのは時々起こることだと思いますが、私が体験したのは、それがある日またそこに現れたお話です。
それはちょうど、大好きな友達が亡くなった時でした。
息を引き取り、病院から自宅へ戻ってきた友達のお顔を見に行きました。
そして帰宅すると、テーブルの上に置いておいたピアスが片方ないのです。
そのピアスは私が持っている中で一番大きいもので、落ちていたらすぐにわかるようなもの。こちらです。
これがひとつしかないのです。
うちには猫もいるし子供もいるので、何かのはずみで落とされたりすることはあるのですが、この時はテーブルの周辺だけじゃなく、部屋中を探してもみつかりませんでした。
友人を亡くしたショックで平常心ではなかったので、間違えてゴミと一緒に捨ててしまったのかもしれない、と思ったのですが、その亡くなった友人はピアスが大好きで、素敵なピアスをたくさん集めていた子だったので、もしかして一緒に持って行ったのかな?とも思いました。
それならそれで私は嬉しかったのです。
数日後、彼女の告別式が無事に終わり帰宅すると、その時うちに住んでいた居候くんが、サッとノーパソの画面を見せてきました。
泣き疲れた目で画面を見た時、私は叫んでしまいました。
「えええええええ!!!」
コンテストに応募した作品がグランプリとってる!!!!!
「ドラゴンポーカー」&「城とドラゴン」“夏休みの自由工作イベント”の結果が発表 - 4Gamer.net
この時ハマっていたゲームのコンテストに、1ヶ月前応募していたのです!
それが、まさかのグランプリ!!
最大の悲しみと最大の喜びが同時にやって来ると、人間どういう表情をしたらいいのかわからなくなるということを、生まれて初めて知りました。
すっごく悲しい!!!
すっごく嬉しい!!!
完全にカオスで、この日は素直に喜べず、次の日やっと喜ぶことができました。
そして数日経ってふと見ると、テーブルの近く、床の間の縁にピアスが置いてあるのです。
あれ?と思い、保管しておいたピアスを見に行くと、ある。
じゃあこれは失くしたと思っていた、もう片方のピアスということになる。
もちろん家族たちは何も知りません。
え、でも待って。さんざん探した時はなかったし、ましてやこんなにわかりやすい場所にあったらとっくに気づいてる。
ということは、ピアスはいきなりここへ現れたことになる。
そして気づいたのです。
ピアスの色と、私の作品の色がそっくりだということに。
他界した友達には、亡くなる直前には会えなかったのですが、私が会いたがって気にかけていたことを彼女は知っていました。
彼女と言えば、ピアス!というのは、仲間内では共通認識だったので、ピアスを隠して、また現してくれたのは彼女なりのメッセージだったのかなと思います。
「私、ここにいるよ〜」というメッセージ
「ちょっと〜受賞しちゃってるよっ!おめでとう!」
という声が聴こえた気がしました。
そういえば、もうすぐ一周忌です。早いなあ。
あの太陽みたいな笑顔に、久しぶりに会いたいなあ。
[追記]
3年後、物品移動現象が再び。