何年も前の出来事です。
その日は確か日曜日で、アンティークの輸入雑貨屋さんへ行ってきた、その夜のことでした。
久しぶりに強い金縛りです。ぎゅうぎゅうに締め付けられているように動けず、息も苦しい。何とかして解こうと手に力を入れた時、突然上から長い髪の毛のかたまりが顔に落っこちてきたのです!
私の悲鳴に夫も目を覚まし、「どうした!?」と飛び起きました。
長い髪の毛は、どこにもありません。
「金縛りが...何かすごくて...」
と言いながら、未だ部屋の中に充満している不気味な空気に、落ち着かない気持ちでいました。
夫も、部屋を見渡していつもと違う気配に気づいている様子。
なんか、変だ。
何かが、いつもと違う。
その時です。
窓のすぐ外で、牛が鳴いたのです。
もおおおおおおおおおおおおお
もおおおおおおおおおおおおお
窓の外に牛がいる!?!?
その声は民謡のような抑揚で、明らかに人間の声ではないのです。
夫と絶句したまま、窓を凝視して動けません。
障子を開けてそこにいるものと対峙する勇気はなく、
もおおおおおおおおおおおおおおお
と大声で鳴き続ける牛らしきものの声を、ただ見つめることしか出来ません。
その時、夫が少し窓に近寄り、
「まだ夜ですよお〜〜」
と言ってみました!牛らしきものは、
もおおっ!?んもおおおおおおおおおお
と鳴いてしばらく黙った後、窓をカリカリカリ…と引っかいてから、走り去って行く足音が聞こえました。
外へ出てみると、ずいぶん明るくなっていました。怪しいナニカの気配はどこにもありません。
SNSにその出来事を早速書いてみると、それを読んだ友人が「もしかしてこれなんじゃないか」と貼ってくれたのが、
こちら。顔が人間で体が牛の、「件(くだん)」という妖怪。
また別の友達がくれたコメントによると、顔が牛で体が人間の「牛男」という妖怪も存在するらしく、その妖怪は女の生首が好物。
女の生首…
女の生首…
私の顔に落ちてきた髪の毛のかたまりって…
いや、気のせいだな。違う違う。
妖怪ウォッチにも「くだん」っているみたいですね☆