毎年、母の実家に帰省していた小学校時代の夏休み。
母の田舎は山と田畑に囲まれた長閑な場所で、夏休みはいつも2週間くらいそこで過ごしていました。
私は姉や従姉妹たちとプールへ行ったり、トウモロコシ畑でかくれんぼをしたり、畑で採りたてのトマトの味に感動したり。
そんな「わたしの夏休み」の出来事です。
ある夜、電車の音で目が覚めました。
目を開けるとカーテンの向こうで電車が走っています。ガタンゴトンと大きな音を立て、走り抜けて行きました。
翌朝、母に言うと「こんなに駅から離れた場所に電車なんか走っていない」と言われてしまいました。確かに線路なんてありません。
夢だったのかなあ?
しかし数日後、また夜中に電車の音で目が覚めました。
やっぱり夢じゃない。本当に電車が走っている。
翌朝母に言うと「また夢見たの?」なんて言われてしまいましたが、
「電車、私もたまに見るよ」
と、従姉妹のお姉ちゃんが言い始めました。
そのお姉ちゃんも霊感が強く「道路を歩いてた人が急に消えちゃった」と言い出したこともありました。
私は嘘つきじゃないことが証明できてホッとしましたが、結局あの電車の霊はなんだったのか、今もわからないままです。
夜中に轟々と音を立てて走り抜けるその電車は、それでも不思議と怖くはなく、当時よく見ていたアニメ映画の「銀河鉄道の夜」を思い起こさせました。
どんな人が乗っていて、どこへ向かって走っていたのでしょう。
3.11以降、私は母の故郷を訪れることはできなくなりました。
たくさんの魂があの電車に乗って、美しい景色を見ていることを心から願います。
せっかくなのでこちらも置いておきます。
大好きな作品。