突然ですが、中学生になった私には好きな先輩がいました。
サッカー部の爽やかなイケメンです。
私も某運動部に所属していたので、遅くまで練習していた日には帰りがサッカー部と一緒になったりしてドキドキしたものです。
ある夏の日、いつもより部活が長引いてしまい、もう日が落ちて薄暗くなりかけた中いくつかの部活がぞろぞろと帰り始めていました。
サッカー部もいます。例の先輩もいます。そんな時に私より前にいた集団が怖い話で盛り上がっていました。
ごめん、そういうの今はいいや。
先輩に見惚れてる私は完全に自分の世界に入っていたのです。
「本当だって〜!うちのお姉ちゃんがそう言ってて〜」
「やだーもう怖くて今夜眠れないじゃん!」
「えっ、ちょっと待って…あれ何…!?」
「きゃああああ!!やめてよー!」
何だか騒がしくなってきました。どうやら、歩道橋の上に怪しげな人影が見えると言うのです。
だいぶ暗くなって見えにくいけれど、確かに人がいるような…
「きゃああああ!!やっぱり気のせいじゃない!!」
「どうしよう花子さんだよ!呪われちゃう!」
サッカー部の男子たちも怯え始め、誰も歩道橋を登れません。
歩道橋の下で動けない中学生の集団と、謎の人影。
花子さんだ、花子さんだとみんなが連呼している中、人影が喋りました。
「そうです〜。花子さんです〜」
きゃああああ本物!!!と更に盛り上がります。でもそこは中学生、幽霊じゃないじゃん、とクールに歩道橋を登り始める人もちらほら出てきました。
謎の人影は相変わらず
「花子さんですよ〜 うらめしや〜〜」
と手を振っています。ちょうど一番上まで登った友達が、なあんだ、と言って
「さっちゃんのお母さんだよ!」
と大声で教えてくれました。私、多分すごい速さで階段登って母を捕まえて
「こ こ で 何 し て ん だ」
とつめ寄った気がします。
「えー、遅いから見に来たらさー、なんか指差されて花子さんだって大騒ぎされたからノッてあげようかな〜と思って」
うん、遅くて心配だったんだよねありがとう。でもな?
やっていいことと悪いことがあってな??
娘の恋路を邪魔するようなことは一番やっちゃいけねえんだよヴォケがあ!!!
という気持ちをストレートに吐き出せない思春期の私は、母を放置で走って帰り、自分の部屋で栄作ばりに叫んだのでした。
でもこうして大人になった今、同じような状況に立たされたらと考えてみると…
絶対同じことしちゃうなーwww