18歳くらいの頃、何だか霊感が強くなりすぎてしまい「友達の友達」や「友達の知り合い」などからも相談を受けることが増えていました。
これは、その頃に紹介された女性のお話です。
その方はお会いした時すでに、エネルギーが感じられないというか、憔悴しきっているように見えました。
「最近おかしいの。家にひとりでいるでしょう?誰もいないはずなのに、時々ズル...ズル...って何かが近づいて来る音がするの。キッチンに居ても誰かの気配がして、やっぱりズル...ズル...って何か引きずる音が聞こえてくるの。ねえ、あなた何なのかわかる?私もう怖くて...」
意識を彼女の背後に向けました。これはまずいものが憑いてる。
そこには、黄色いTシャツを着た男の人がいました。
その人は、まるで土手を転がり落ちたような土汚れが体中にあり、片足がよく見えません。
怪我してるのか元々不自由なのか詳しくはわからないけれど、彼女が聞いている「ズル...ズル...」の正体は、彼が足を引きずっている音と見て間違いなさそうです。
この霊には、ふたつ、大きな問題がありました。
ひとつめは、どうやら知的障がいをお持ちのようなこと。
ふたつめは、自分がこの女性に取り憑いていることに、気づいていないこと。
このままにすると、この女性はおそらく日に日に弱っていってしまうだろうと感じました。
私は霊媒師ではありません。「視える」だけです。今ならお寺に行くことを進めますが、当時私はまだ子供で、自分で何とかしなくちゃと抱え込んでしまったのです。
まず、この霊がどこからついて来たのかを突き止めようと思いました。
木が鬱蒼とした神社のイメージが来たので、女性に心当たりがないか尋ねると、
「二週間前に○県の神社に寄りました」
と言います。しかも、その頃から異変が起き始めたと。
これはそこに行って彼を「帰す」しかないと思い、週末一緒に○県へ行く約束をして別れました。
その日の夜、私は家族がみんな寝静まった後も遅くまで起きていました。
そろそろ寝ようかなと思いトイレに入ると、階段から誰かが下りてくる音が聞こえてくるのです。
トン、ズルズル... トン、ズルズル...
一段一段下りてきます。
トン、ズルズル... トン、ズルズル...
これは...あの黄色いTシャツの人だ...!!
ゴトン、ズルズル... ゴトン、ズルズル...
気持ちで負けちゃだめだと思い、トイレから出て一気にあちこちの電気をつけました。
階段には誰もいません。
これは早く何とかしないと私まで巻き込まれてしまう!
週末まで、落ち着かない気持ちで過ごしました。
つづく