謎はいつもそこに

子供の頃から自然に生活の中にまざっていた不自然なものたちのお話。

妖怪ぬかみそおばけ

 

部屋でくつろいでいると、母がすごい勢いでドアを開けて入ってきました。

 

「でっでっで、出たのよお!!ぬっ、ぬかみそおばけが!!」

 

私は母を一瞥すると、また読みかけの本に視線を移します。

 

「ちょっと!無視しないで!本当なんだってば!」

 

ぬかみそがっ、ぬかみそがっ、とうるさいので、話を聞いてみることにしました。

 

母は(この当時で)もう10年以上育てているぬか床があります。

「手をかけすぎない」ことを信条にしつつ大切にしていて、そのぬか漬けはかなりの絶品です。

この日、いつものようにぬか床から美味しくなったキュウリやナスを取り出していたらしいのですが...

 

母を真ん中に、左にぬか床、右にお皿。

 

ぬか床 母 お皿  こんな感じで座っていました。

 

左を向いてキュウリを取り出し右のお皿に置きます。うん、いい感じに漬いてる。

今度はナスを取り出そうと左を向くと、ぬか床が逆さまにひっくり返ってると言うのです。

ぬか床は大きめの壷なので、母が持ち上げる時には「よいしょ」という重さです。それが一瞬で逆さまになっていると。

母は、まあ何かの間違いだろうと「よいしょ」とひっくり返し、ぬかをかきわけながらナスを取り出します。取り出したナスを右のお皿に置き、続けてもうひとつナスを取り出そうとぬか床を見ると、また逆さまにひっくり返っている!!

 

おかしい。これはちょっとおかしいぞ。

でも...気のせいかもしれない。

 

母はぬか床からキュウリを取り出す!

そして右のお皿に置いた瞬間左を向く!!

 

逆さまにひっくり返っている!!!

 

ここで母はキャパオーバーになり、悲鳴をあげて部屋に駆け込んで来たということでした。あまりにも不可思議な出来事なので、たぶん「妖怪ぬかみそおばけ」がいるのだろう、ということで家族全員納得しました。

「まくら返し」の進化系なんじゃないでしょうか。

 

ぬか漬けの美味しい季節になってきましたね。

私もそろそろ眠らせてるぬか床を起こして、今年もぬか漬けを始めようと思います。

私のぬか床ですか?

ひっくり返ったことはまだありませんが、母から分けてもらったぬか床なので...

今年は期待してみます。

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