ある夜、私は病室の簡易ベッドで横になっていました。
眠ったり目が覚めたりを何度も繰り返していた時のことです。
病室のドアは少し開けたままにしていたのですが、その隙間から、鮮やかなターコイズブルーのしなやかな布がばさっと飛び出してきました。
起き上がって周りを見ると、そんなものはありません。
夢なのか現実なのかよくわからないけれど、あの布はガブリエルと同じ色だった。
やっぱりずっとここにいるんだ、と思いました。
他にも誰かいるのかな?
ふと疑問が湧いたので、意識を集中してみました。
ガブリエルではない、天使のような存在が、父のベッドの横にいるのがわかりました。
その人は女性で、メイドみたいに父についていてくれてる様子で、まっすぐ立ち、両手には畳んだ布のようなものを持っているのを感じました。
また布ですね。布はなんのためのものなのでしょうか?
また、その他にも小さなおじさんのような存在が忙しそうに動き回っているのもわかりました。
その様子は「慌てて準備に追われている」みたいで、私に残された父との時間はもう、あと少しなのだと伝わってきたのです。
それでも、こうして父を見守ってくれている存在がいることは、私を強く強く励ましてくれました。
私は願いました。
どうか、父があんまり苦しい思いをしませんように。
どうか、私たちに残された時間が、穏やかなものでありますように。
illustration by funcy-qutton(twinkle sachiko)