このブログを始めてから、たまに友人たちに「あの話書いてもいいからね」と言われますwありがたいことです。
今日は、そんな風に言ってくれたひとりの友人のことを書きます。
彼女と知り合ったのは、もう7年くらい前かな?
彼女は何年も前に、恋人を亡くしていました。
そしてこの時、変わらずに彼を想い続けていたのです。
ある夜、まだ小さかった息子を寝かした後の薄暗い部屋で、彼女と遅くまで話していた時のことでした。
ぽつりぽつりと心の深い部分の話をしていた時に、彼女の右耳にひまわりの花のような光が見え始めました。ああ、なんだろう、きれいだなと思いながら、私は相槌を打ちます。
そのうちに、今度はそのひまわりと重なって男の人の顔がはっきり見えてきました。
優しそうな、眼鏡の男性。
すごく...私に何か言いたそうにしてる。
「あのさ、」
私は話を遮りました。
「ごめん、さっきから右耳に男の人が見えてるんだけど...もしかして彼」
言い終わるか終わらないかのうちに、私の中に誰かが入ってきた衝撃が!!
次の瞬間、私は大泣きしていました。
私はわけがわからないのに、言葉が勝手に出てきます。
「ずっと…」
え、なにこれ勝手に口が動いてる!
「覚えていてくれて…ありがとう」
泣きながら、ふり絞るように言葉が出て来ました。
「もう前に進んで……しあわせになってほしい」
勝手に泣けて泣けて止まりません。号泣です。
彼女も泣いています。「私じゃない」ことがちゃんと伝わってる。
私に入ってきた人は、それだけ言うと 消えてしまいました。
吉本ばななの小説みたいな、現実と別の世界の隙間みたいな時間でした。
彼女は泣き止んでから、「実は、」と言いました。
「彼が亡くなってから、毎年冬になると右耳が聞こえにくくなるんだよね。だから右耳って聞いてびっくりした」
彼はひまわりになって、右耳を照らしていたのでしょうか。
そこには、未練がこびりついてるような感じではなく、彼女をやさしく見守っている光がありました。
後日、初めて彼女が見せてくれた写真の中に、私が見たのと全く同じ顔と表情の彼がいました。あまりにも同じだったので、改めて「本当に本当だったんだ!」なんて思ってしまいました。
その後何年も経って、以前記事にも書いた「千里眼を持つと言われている霊能者」に、彼女も視てもらう機会がありました。
前に進んだ彼女は新たな恋をしていたのですが、ひまわりの彼のことも聞いてみたそうです。
霊能者さんいわく、もう2年くらい前に生まれ変わってると。
あの日、やっぱりお別れを言うために現れたんだね、と彼女と話しました。
実は、ある一枚の救急車の写真があるんです。
それは、夜遅く、私の実家の近くの交差点に停まっていたのをたまたま父が撮ったもので、事故現場の生々しさはないのに、意図的にピンぼけにさせた救急車の光がストーリーを感じさせる、何だか心に残る写真でした。
何の偶然か、その救急車が、ひまわりの彼が乗っていたものかもしれないのです。
時期や季節はほぼ同じで、そう何度も事故があるような場所ではないので、もしかしたらそうだったかなと思うのですが、私、彼女と出会う何年も前の専門学生の時に、授業の課題でその写真を使ったことがあるんです。
写真のコラージュで絵本を作るような課題だったのですが、私は1ページ目にその写真を使いました。
「わたし」という人が死んでしまうところから物語は始まるのです。
(今考えると、その救急車に乗ってる人の状態を、そこに在るストーリーを、その写真から感じたのでしょうね。)
そして「わたし」は旅に出ます。
鳥と話し、植物から大事なことを教えてもらい、風の中に何かを見つけていくのです。
そして最後のページは、産まれたての自分の写真を使いました。
「わたし」は旅を終えて、新しい命に生まれ変わったところで絵本は終わります。
ひまわりの彼は今、男の子に生まれ変わって暮らしているそうです。
彼の旅はどんな冒険だったのか、いつかどこかで聞いてみたいですね。
いわさきちろさんの絵に、もうまさに!な絵があったのでお借りしました。