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謎はいつもそこに

子供の頃から自然に生活の中にまざっていた不自然なものたちのお話。

僕たちの数時間戦争

小学生の頃のお話です。

仲良し4人組でいつもの公園で遊んでいると、どこかの小学校の女の子が3〜4人やってきました。

特に関わらずに遊んでいたのですが、何かのきっかけで、お互い相手グループを見てヒソヒソ言い始めてしまったのです。

公園内に険悪な空気が流れ始めました。

ヒソヒソはいつしか普通の声になり、もう明らかにケンカが始まってしまいました。

でも、そこは小学生。ものすごい遠距離から悪口を言い合う程度です。

 

ちょっと記憶が曖昧なところがあるんですが、そこから一度、その子たちとは別れたんです。

 

「最終決戦は16時だ!」

 

とか何とか言って。16時にまた会って決着をつけるぞという、物騒なんだかノンキなんだかわからないけど、とにかく16時までに私たちは作戦を練ることになりました。

水風船を大量に作るとか、落とし穴を掘るとか、そんな微笑ましい作戦なのですが。

 

そんなことを話し合ってると、同じクラスの男子たちが通りがかりました。

そこで、○○小とケンカになってると言うと、男子もテンションが上がるわけです。

普段は仲悪い男子たちと一丸になって士気を高めていく。

その時、そこにいた男子のお兄ちゃんが来て、話に入ってきました。

事情を話すと「くだらねえ」って顔で行ってしまったのですが、途中で振り返り

 

「何かあったら言えよ」

 

という台詞がクールすぎて、みんな持っていかれたのを覚えています。

さて、あれやこれや作戦を練っていたのですが、結局、男子は女子同士のケンカに口出すのもどうかという流れになり、やっぱり私たち4人で決着をつけるしかなくなりました。

 

時刻はそろそろ16時。

約束の公園で相手を待ちます。

 

なかなか相手が現れない。あいつら逃げたんじゃないか?

そう思い始めた頃でした。

 

夕焼けのオレンジ色の中、向こうから25人くらいの女子が、横一列になって向かって来るのです。

あいつら、集められるだけ人数集めてきやがった!!

 

その25人はみんな手を繋ぎ、遠目から見てもものすごい気迫で一歩一歩、近づいて来ます。

 

「こっち4人なのに...やばくない?」

 

誰かが言いました。でも本気出せば何とかなるでしょ、と強気な発言をしつつ、私たちは前からやってくる一列の部隊から目を逸らせない。

 

さすがに多すぎる。敵はもう、そこまで迫っている。

ようやく顔が見える距離まで来た時に、私たちはすごい光景を見たのです。

 

 

全員、号泣しているのである。

 

 

25人、しっかり手を繋ぎ合い、私たちを見据えながら、全員号泣しているのである。

 

 

あと10mくらいのところで隊列は止まりました。

息をのむ私たち4人。何が起きてるのかわからない。

目の前には、顔をくしゃくしゃにして号泣している25人。

 

リーダーっぽい子の合図に合わせて、25人が一斉に言いました。

 

 

 

「ごーめーんーなーさ〜い!!!」

 

 

 

 もうそれは、魂の叫びと表現してもいいだろう、絶叫。シャウト。

何度も夕方の公園に響き渡る

 

 

「ごーめーんーなーさ〜い!!!」

 

 

の合唱。わけがわからないまま、泣いてる子達をなだめてなんとなく丸く収まった戦争は、鼻を赤くして泣き腫らした顔のリーダーからの

 

「こういうケンカはもうしちゃだめよっ」

 

メッ、と言わんばかりの上から目線で幕を下ろしました。

 

未だに何だったのかわからない出来事です。

おしまい。