金縛りネタもたくさんあるので、少しずつ書いていきたいと思います。
高校生の頃だったでしょうか。夜中に金縛りに合いました。
やだなあ、またかと思いながら足元の窓の方を見ると、スーツ姿の男が立ってる。
もちろん父ではない、知らない人です。
中肉中背でわりとスラッとしたその男は、窓の外にある街灯で逆光になっていて顔まではよくわかりません。こちらを見ているわけでもなく、なんというか思いつめているような雰囲気が少しだけありました。
体は、相変わらず金縛りのままです。なんとか解こうとして体に力を入れたり悪戦苦闘していると、少しずつ掛け布団が右に引っぱられます。
首が動かないので眼球だけ動かして右の方を見ると、すぐ横で老婆が布団に潜ってこようとしているのです。
恐怖で悲鳴を上げたつもりが、金縛りで声になりません。
ぼろぼろの服を着て、しわしわの顔の小柄な老婆が、
「入れておくれよ...」
と言って布団を引っぱります。もう私は金縛りを解こうと死にものぐるいです。
私と老婆の攻防戦が続く中、ふと、さっきのスーツの男が気になりました。
さっきまで佇んでいた窓辺にはいません。あれ?と思いまわりを見ると、スーツの男は確かにいました。
私の布団のまわりをグルグル、もの凄い速度で歩いているのです。
横では、相変わらず老婆が布団に潜ろうとしています。
私はもう、どうしたらいいのか...わかりませんでした。