神社にいました。近所にある小さな神社です。
母がお賽銭を入れ、手を合わせて安産祈願をしていました。
「さあ、帰ろうか」
と、境内の急な階段を下り始めた時、まだ2歳にもなっていないくらいの姉が、その階段を転がり落ちてしまいました。
母は大きなおなかなので、ゆっくりとしか階段を下りられません。
姉は、一番下で泣いていたと思います。
私はその一部始終を、母のおへその穴から見ていました。
姉が神社の階段からきれいに転がり落ちた話は、母の妊娠中のエピソードのひとつなのですが、その場には父も祖母もいなかったし姉は記憶にないようなので、あの見事な転がり方を知ってるのは、母と私だけなのです。