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謎はいつもそこに

子供の頃から自然に生活の中にまざっていた不自然なものたちのお話。

やさしい視線

10代の頃だったと思います。散らかった部屋にいたら無性に片付けたくなり、部屋の大掃除を始めました。

1時間くらい集中して片付けて、ようやく終わりが見えてきた頃。

部屋のドアは開けたまま、ちょうど廊下に背中を向けるような姿勢で雑誌を束ねていた時でした。

後ろから、おじいさんがこちらを見て微笑んでるヴィジョンが、はっきり頭の中に見えたのです。

そのおじいさんのメガネのデザイン、レンズの厚み、着ている服のボタンの数まではっきりと見え、その笑顔はまるで「感心、感心」と言っているようでした。

 

夕方、仕事から帰ってきた母にそれを伝えると、いきなり涙ぐみ、祖母の部屋へ連れて行かれました。

仏壇の横に飾ってある古い遺影写真を指差して、

 

「この人でしょう?」

 

と言いました。そこには、さっき会ったばかりのおじいさんが写っていました。

私が生まれる前に亡くなった祖父だったのです。

やさしい視線の理由に、納得しました。

「とにかくやさしい人だったから、今生きてたら孫を可愛がって可愛がって大変だったと思うわ〜」

と祖母が笑っていました。

 

子供の頃って、会ったことのない亡くなってる人には興味を持てないものです。

だから祖母の部屋で日常的に遺影写真は見ていたのに「私の知らない人」としか思えず、祖父の存在をなかったことにしていました。

でも、この日ようやく祖父に「会えた」ので、それからは身近に思えるようになりました。

いつも見守ってくれて、ありがとうございます。