謎はいつもそこに

子供の頃から自然に生活の中にまざっていた不自然なものたちのお話。

放課後のマッドサイエンティスト

放課後の教室で遊ぶのが楽しかった高学年のある日、いつもの友達数人と、いつもしているような鬼ごっこを始めたのです。

 

「じゃあ数えるよー!いーち、にーい!」

 

という友達の声に、慌ててみんな走り出しました。私だけ、教室の後ろのドアから勢い良く飛び出すと、目の前に白衣を着た先生がいてぶつかりそうになってしまいました。

「わー!すいません!」

とその人の顔を見上げると、髪がところどころ縮れて、顔は煤けて汚れていて、丸い眼鏡も汚れていて、明らかに

 

「実験に失敗しました」

 

という風貌。でもこんな先生いたっけ??と思いながら慌てて教室に引き返し、今度は前のドアから廊下に飛び出すと、もうそんな人はいませんでした。

何となく笑顔っぽい顔の、優しそうな人でした。

 

実験に失敗し続ける霊、と思うとちょっとおもしろいのですが、戦時中の被曝した方だったのかも、と思うと… いたたまれない気持ちになります。

 

放課後は魔境です。子供たちは速やかに下校しましょうね。